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最後の章です-第3部

生きているのはきついんじゃないか?
そういわれた僕は咄嗟に返事ができなかった。

小さい頃から生きることはきついことだった。
なんでここにいるのだろう。きついなあなんて、幼稚園の時にはすでに考えていた。

一風変わった子供だった僕は教室でも少し浮いていた。
今から考えると、表現の仕方が下手だったと思う。
結構きついいじめにもあってきた。


何度自分から命を放棄しようとしたかわからない。
でも死ぬのは怖かったし、なによりその行為には被害者意識が付きまとっていたので
自分をなくしたいというより、僕をいじめたその人たちに後悔させたい思いが強かった。

そんな人生の思い出が浮かんできて、僕は咄嗟に返事ができなかったのだ。


「どうします?」
若い、先生風の青年は重ねて聞いた。
その時、ふと僕の脳裏に、その日の昼、実際に起きた出来事がよみがえったのだ。

僕はその日、ある友人の主宰するワークショップに遅れて参加した。
その際にお互いの緊張感をとくための方法として
見知らぬ女性から突然僕は質問されたのだ。

「あなたの宝物はなんですか?」
「そうですね・・・月並みですが家族です。兄と8匹の動物たち」

この記憶がふとよみがえったのだ。


「あの・・・すみません。僕、今は行けません」
僕は先生に恐る恐る答えた。

「え?だって今までのあなたの記録を見ると、これ以上続けていくのは難しいのではないですか?」
「そうなんですけど・・・でも、やっぱり無理です。すみません。どうしても今は無理です!」
「う~ん・・・」

僕は懇願した。自分の命が惜しいこともあったが、
それよりも今、僕が生きることを放棄すると、兄も8匹の動物たちも本当に困ってしまうのだ。
残されることの悲しさ、つらさは父を亡くしたときに嫌と言うほど思い知らされているし
物理的にも僕が居ないと大変なことになってしまう。


「そうですか・・・そこまでおっしゃるなら」
ようやく先生は口を開いた。

「判りました。ではしばらく様子を見ましょう」
「あ、ありがとうございます!」
「ちゃんと生きていくことの意味はわかっておいでのようですし・・・」
「えっと・・・命は預かったものだと、そして預かる意味があるのだということくらいですが・・・」
「まあ、いいでしょう」

ひとまずほっとしたところに先生はこんな提案をしてきた。

「では様子を見るということで、2日に一回、ここに現状の報告をしにきてくれますか?」
「はい!わかりました!!」

すると先生はこれまでにない厳しい顔で

「必ず2日に1回ですよ。お仕事とかあるんでしょう?。約束できますか?」

僕はしばらく考えたが、できるか?ということではなく、これこそしなければならないことだと思ったので

「はい、必ず」
と答えた。


「わかりました。ではそのように」

先生はカルテになにやら書き付けて、どうやら終了したようだ。

「では次の方、どうぞ」

僕はその頃から目が覚め始め、周りが薄ぼんやりとしてきた。
そして意識が身体に戻り、自分は布団の中で、朝の小鳥の声を聞きながら目を閉じている
そんな状態になったとき

「忘れないで下さいね。2日に1回ですよ」

念押しの声が聞こえてきたのだ。


多分僕は、命を落とさずにまだ生きている道を許されたのだと思う。
それはこんな僕でも、まだやることがあるからではないだろうか。

そしてそれは皆同じことなのだ。
今、生きている、それは必ず意味があるのだ。
だから生きていられるのではないか。

この夢で僕は改めて、命とは一人のものではないことを知らされた。
どうかすると目の前に起きている物理的なことだけに囚われそうになっていたが
ここに書くことで再度考えることができた。

最近は企業の利益追求に関わったりと、いわゆる3次元の生活につかっているが
このことを忘れてはならないと思う。

また、夜が明ける。
でも今日の僕は昨日の僕よりきっと明るい僕でいるだろう。
僕は生きることで
何かをすることができるのだから。



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プロフィール

ドミニク

Author:ドミニク
画家、朗読家、アートセラピスト。

福岡県糸島在住。

建築設計コンサルタント、デザイナーの仕事を経て、不思議なめぐり合わせにより、2006年1月から月や星々などから得られる不思議絵と、2006年6月から人間の中に感じられる光や形を描くパッションアートを描き始めました。

昔から本を読むこと、絵を描くことが大好きでした。大学では心理学を専攻し、その後建築デザインへと転向しました。学生時代は素人芝居に熱中していました。コンサルタントの仕事では、人の言葉にならない気持ちを汲む能力を磨くことができました。すべての経験が現在に繋がっています。

最近は、絵を描く際に降って来る言葉を紡ぎ、声を使って朗読する「絵とことばと声の展示会」を行ってます。

2頭のバーニーズマウンテンドックと6匹のメインクーン一家と共に、田舎のアトリエ暮らしを満喫しています(^^。

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